
2020年10月8日。この日に開業届を出して、今日でちょうど6年になりました。今日から7年目。
こうして「6周年」と書いてみると、なんだか少し不思議な気持ちです。
6年前の私は、まさか自分が6年間も自営業を続けているなんて、想像していませんでした。
というより――
そもそも、自分で仕事をすることが自分に向いているなんて、思っていなかったんです。
2019年12月。
勤めていた会社から、一斉解雇が決まりました。その時点で、半年後には会社を辞めることが決まった。
それまで私は、「会社に属していれば、生活は安定する」と、かなり素直に信じていました。
父も公務員でしたからね。
どこかに所属して、与えられた役割をきちんと果たしていく。それが、私にとっての「働く」ということだったんだと思います。ところが、その「安定しているはずの場所」がなくなった。もちろん、不安でした。
再就職することも考えました。
でも、自分の経験やスキルと、世の中にある仕事とのマッチングが、どうもしっくりこない。
「だったら、一度、自分でやってみようか」
そう思って、開業しました。なので、夢を叶えるための開業だったわけではありません。どちらかというと腹を据えた感じ。正直、不安のほうがずっと大きかったです。
会社員のときは、仕事が分業されていました。
それが当たり前だと思っていました。
でも、自分で仕事を始めたら、そうはいきません。
仕事そのものも、自分で見つけなければならない。何でも自分でやらなければならなくなって、初めて、「ああ、会社員のときは、たくさんの人に支えてもらっていたんだな」と気づきました。
休みがあることも、毎月お給料をいただけることも仕事があることも、当たり前ではなかったんですよね。開業してから、そんなことを身をもって知りました。
でも、6年間を振り返ってみると、一番大きかったのは、「自分って、思っていたより動けるんだ」と知ったことかもしれません。
私は営業が得意だと思っていたわけではありませんし、人脈が豊富だったわけでもありません。
でも、必要になれば情報を探す。
人に会いに行く。異業種交流会にも行ってみる。話をしてみる。気になったことは調べてみる…。
そうやって動いていると、不思議なことに新しい人に出会い、新しい仕事が生まれ、新しい企画が生まれる。
「偶然の出会い」というものも、実は自分が動いた先にあるのかもしれません。
そして、その出会いがまた次の可能性を連れてきてくれました。
開業後、イメージコンサルティングの世界にも入っていきました。
そこで、とても面白いことが起こりました。
デザインでずっと使ってきた「色」や「形」の知識が、人の印象を考えるときにもつながっていたんです。
なぜこの色を使うと、こういう印象になるのか。
なぜこのフォントは、こう感じるのか。
なぜこの形には、こういう特徴があるのか。
デザインと人の外見。
一見、まったく違うものに見えていたものが、どんどんつながっていきました。
「あれ?これって、同じことを見ているのかもしれない」そんな発見が、とても面白かった。
そして、色をもっと知りたいと思うようになり、色彩の勉強を続け、講師養成講座にも通いました。
半年間、毎月東京へ。
レポートを書いて、模擬講義をして、最後には試験。
そこで改めて気づいたことがあります。
私、勉強が嫌いだと思っていたけど……
どうやら「知りたいことを勉強する」のは、かなり好きらしい(笑)。そこから、色彩学、色彩心理、心理学などの本を読むようになりました。そして今では、50歳にして大学生ですwww
6年間もやっていれば、理不尽なこともありました。
悔しいことも。
悲しいことも。
「なんでこんなことになるの?」
と思うこともありました。
でも、振り返ってみると不思議です。
その出来事の渦中にいるときは、「もう嫌だ」と思っているのに。少し時間が経つと、「あの経験があったから、今の自分がいる」と思えることが増えていく。
そこで仕事の仕組みを見直したり。自分のルールを作ったり。自分を守る方法を考えたり。「次はどうしたらいい?」と考える。
そうやって、一つずつ自分の仕事の形ができていきました。
理不尽な出来事を、無理に「良かったこと」にする必要はないと思っています。
嫌なものは嫌だし、悔しいものは悔しい。でも、その経験をどう乗り越えるか。そこから何を学ぶか。
それによって、少しずつ「自分はこうしたい」という道が見えてくる。そんなことも、この6年間で学びました。
会社員の頃、仕事は基本的に「与えられたもの」から始まっていました。
もちろん企画を考えたり、仕事を取ってくるために考えたりすることもありました。でも、自分で事業を始めてみると、
仕事は「あるもの」ではなく、
「つくっていくもの」なんだ
と思うようになりました。
資格を取った。
だから仕事になる。
デザインができる。
だから仕事になる。
講師ができる。
だから仕事になる。
……そういうことではないんですよね。
それらは、あくまでも「材料」。そこから、「誰のために?」「何ができる?」「どう役立てる?」「どうやって届ける?」を考えて、初めて仕事になっていく。
6年間かけて、少しずつそのことが分かってきました。
実は、私が一番知らなかったのは、
自分自身だったのかもしれません。
私はずっと、「自営業なんて、自分には向いていない」と思っていました。
ところが、周りの人からは、
「仁美ちゃんは自営が向いてると昔から思ってたよ〜」
「仁美は自分で仕事することが向いているに決まっているじゃん」
と、まるで当たり前のことのように言われる。一番信じていなかったのは、自分だったのかもしれません。
やってみたら、思ったより動けた。思ったより人と出会えた。思ったより勉強できた。思ったより、新しいことを始められた。
そして何より、
思ったより、楽しい。
大成功しているわけではありません。今だって大変なことはあります。
それでも、「どうやら、この生き方、私には悪くないみたい」と思えるようになりました。
今、7年目に向かって、「今年はこれをやります!」という明確な答えがあるわけではありません。しかし、先にぼんやりと見えているものがあります。
昔の人が海へ航海に出たときのように。北極星を見ながら、「たぶん、あっちの方向だ」と進んでいく。
でも、天候が悪ければ星が見えないこともある。進んでみたら、航路を少し間違えることもある。それでも、また方向を確認して進めばいい。私にとっての7年目も、きっとそんな感じなんだと思います。
まだ輪郭のはっきりしない未来に向かって、「こっちかな?」「じゃあ、これはどうだろう?」と、試しながら進んでいく。その途中で、また知らなかった自分に出会うのだと思います。
この6年間を振り返って、今、一番伝えたいことがあります。
もし、「自分には無理」「私には、そんなことできない」「今の環境では無理」「もう歳だから」そんなふうに、自分で自分の可能性を制限している人がいたら。一度くらい、その枠から出てみてもいいんじゃないかなと思います。
私自身、「自営業なんてできない」と思っていました。でも、やってみたらできた。もちろん、何でもうまくいったわけではありません。
転びました。傷つきました。悔しい思いもしました。
でも、転んだら起きればいい。転ばないように、転ばないように、と生きていると、いつの間にか「転ぶこと」そのものが怖くなってしまう。だったら、転んでもいいから、一歩動いてみる。
その先には、
「え? 私、こんなこともできるんだ」
という、自分でも知らなかった自分が待っているかもしれません。ジョハリの窓でいう「未知の窓」。
自分も知らない。他人もまだ知らない。そんな自分に出会う。私は、それがとても面白いと思っています。
そして、
「私、けっこうやるやん。」
って思える瞬間が、人生にはきっとある。
6年前の私に伝えるなら、「大丈夫。まだまだこれからだよ」というより、
「思ったより、楽しいよ。」
と伝えたい。
そして、「あなた、意外と自営業向いてるみたいよ」と教えてあげたいです(笑)。
2020年10月8日。
不安いっぱいで出した開業届から、今日で6年。
ここまで続けてこられたのは、私一人の力ではありません。
私を選んでくださったお客様、仕事を任せてくださった皆さま、ご縁をつないでくださった皆さま、学びの機会をくださった皆さま…。そして、そばで支えてくれた家族や友人。本当にありがとうございます。
皆さんが預けてくださった大切なお金と時間、そして信頼があったからこそ、私はこの6年間、仕事を続けることができました。
これからも、まだまだ知らない自分に出会いながら、迷ったり、立ち止まったり、時には転んだりしながら、まだ解像度が低いながらも見据えている、その目標に進んでいきたいと思います。
そして、いつか振り返ったときに、「7年前より、またちょっと面白い自分になったな」と思えたら最高です。
7年目のdesign Jinも、どうぞよろしくお願いいたします。

